既受講の方から、Twitterで社団さんが交通事故の事をやっていますよ・・・的な、報告がありました。
どれどれ・・・と拝見しまして、いくつか気になった点があります。
今回は、よくしている批判(?)ではなくて、10年以上この業界の問題点を見てきた側として、少し打開策含めた投稿にします。
まず1枚の写真から
Twitterですので、公的に開示した情報として今回は活用させて頂きます。
手元には、これしか資料はありません。
ですが、この1枚だけでも語れることが結構あるんです。
この項目の文面からの憶測でしか無いのですが・・・逆に、この項目文面だけでも、実際問題への解決との剥離があるんですね。
それを解説します。
項目を文章化すると「自賠責保険の特徴」とあって
・強制保険である
・人身損害についてのみ
・過失相殺は、あまり問題とならない
・限度額が設定されている
とあります。
それでは、各項目について、解説・補足・提案として意見も申しあげます。
・強制保険である
確かに事実なのですが「この項目っているのか?」という疑問があるので、私の勉強会ではあえて出していません。
ググれば出てきますし、なにより運転免許を持っていれば、教習所で習う項目です。
デフォとして出すのでしょうけど、あまりにも聞き及んでいる項目を初期にもってくると人間は
「あ・・・いつものか・・・」という先行フィルターを作りかねないんです。
なので、出していません。
実は、これって結構重要で「交通事故の事をちゃんと知りたいけど、学ぶ機会が無い」という不満は、全国で聞かれます。
それでいながら、学びたくともあるセミナーは、やれ
・ランニングが上がった
・これだけ売上増えた
・これで患者を救済出来るなど、与太話は始まる
・弁護士と連めば鬼に金棒で、患者の慰謝料増額などという、架空の期待を作らせる
ばかりで、辟易している柔整師も多いのです。
しかし、そもそもの柔整団体は、交通事故のプロ集団とは違うので、画一的な情報しかなかなか入ってこない。
扱い項目として行うが、現場の先生方としては「いや、聞きたい事って、違うんだよね」という不満から、需要と供給間のニーズの相違になってしまう・・・それが現状なのです。
結果的に、建設的な修得効果に乏しく、交通事故の根幹を把握仕切れない現場では、
自己抑制が出来ない→逮捕に至る
よく分からないけど取り合えずやってみる→知らず知らずに、患者に二次加害を与えてしまっている
が起きているわけです。
これは、所属会は全く関係ありません。
人身損害のみ
ちょっと、これは修正した方が良いです。
正確には自賠責保険は対人賠償であって、治療費等々は「治療に関わる損害」とあり、細かな話ですが「損害」と「賠償」の文字違いが、現在の理解不足に至る事にもなりかねません。
これは「対人賠償」であることから、人のカラダに関わる損害を現したかったのでしょう。
しかし「人身損害」という言葉自体がありませんし、賠償観点が無い事から、現場トラブルの大元にもなりかね無いのです。
「対人賠償」は、他者に与えてしまった損害を賠償することです。
従って、本人には対応出来ません。
なので100歩譲っての「人身損害」という表現となると、自爆事案や、自分にも使われかねないと誤解を生みます。
実際に、交通事故が大して分かっていない2流以下コンサルに煽られて作ったであろうHPでの交通事故の項目では、自損事故でも自賠責使って0円治療とあり、患者さんを騙していることになっています。
現在、広告検討会が実施されていますが、そもそもの柔整師法云々の前に、広告に対しては「景品表示法」があるので、ウソ書いて集患はしてはいけない事であり、一般人である患者さんの方が、それを理解していたりします。
こういったことをする柔整師を文化的に改訂する方向に導いていかないと、柔整師の社会的地位の向上なんて、夢のまた夢でしかありません。
そして「賠償」にしなくてはならない、最大の理由・・・
そもそもが、自賠責保険は民法709条である「不法行為による損害賠償」を、弱者保護を含めて交通乗用具における事故を想定した「自動車損害賠償保障法(自賠法)」を補填する保険です。
民法709条には「因果相当関係の立証責任」があり、被害者であることの多い患者さんが賠償請求する事において、医療従事者には医証記録・作成を協力しなくてはなりません。
つまり、勝手に相手や保険会社が払うものでも無いので、免許の元に業務を行う必要があるのです。
難しく感じるかも知れませんが、ここの理解が進むと進まないとでは雲泥の差があり、
実際の交通事故事案における保険会社とのトラブルの大元は、ここへの理解不足
と私は結論つけています。
確かに、営利企業である保険会社の対応には辟易することも多いですが、そもそもの法律・規制で出来上がっている交通事故損害賠償は、理解をきちんとすれば、そこまでトラブルは起きません。
事実、私の勉強会既参加者からは「考えを変えてから、本当に環境が変わった」と評価されることも多いですが、私は原理原則を現場主義に準えているだけに過ぎません。
・過失割合はあまり問題とならない
これに関しては「確かに、自賠責保険範囲内ならね・・・」となりますが、実態はそう行かない事も多々あります。
自賠責保険で金銭対応する「治療に関わる損害」の120万円以下なら、その通りです。しかし
・過失割合によって、過大の場合は減額
・被害者としての要素が無いと不対応
の原則があるとすれば、ちょっと違う表現にされてみては、いかがですか?
また「120万円を1円でも超えれば、最初の1円に振り戻って過失相殺される」ことや、更にそういう事態で相手にも怪我があったら、当然その分の相殺があり、減額は大きいものになります。
接骨院での請求だけを見ているなら「120万円なんて行かないし」でしょうけど、当の患者さんにしてみれば、救急搬送された病院での費用や、交通費・慰謝料もすべて「治療に関わる損害」であって
「120万円しかない」
となります。これは保険会社も同じ考え。
だから、残金が減ってくると、矢のような打ち切り攻勢に転じるのですから。
つまり、目の前の費用の流れだけで「過失割合」の存在を判断すると、後になって患者さんからのクレームに転換しかねません。
巷にある「交通事故は0円治療」というのは、この過失割合の制度と実態を理解していないで、ダマシ集患する典型例です。
いろいろ書きましたが・・・
別に言葉狩りをする気は無いのですが、今の逮捕報道されない月は無い現状から考えると、何かしらの考え方の足りなささがあることを否定するというのは「臭いものに蓋をする」のと同様になってしまうと考えます。
真面目にやりたい現場は、情報に飢えているからこそ、これまでの研修による習得レベルに満足出来ずに、いかがわしいセミナーいってしまって騙されてしまう・・・という不幸な例を見てきています。
「多くは真面目であって・・・」とした反論をしても、世間はそうは見てくれていません。
昨今の、SNSでの柔整叩きはエスカレートする一方です。
「悪貨が良貨を駆逐する」のなら、良貨の文化を蔓延するしかないのです。
今回は、項目における指摘をしましたが、実際の会での詳細は建設的で「良貨が文化を広める内容」である事を祈ります。
まとめ
項目だけでの指摘ですが、逆に項目だけで指摘できてしまう点がある現実を受け入れて下さい。
そろそろ「今までやってきたけど、もしかしたら修正が必要かも」という視点に立って頂くと、まずはそこから改善されていきます。
必要であれば、プロレベルでのお手伝いは出来ます。
追伸
今回の投稿を「じゃあ、社団にそのまま言えば良いじゃ無いか!」という指摘があっても受け付けません。
過去、別県の社団さんに協力しましたが・・・そこは過去の文化に固持され、私を否定・避難することで既存文化の維持を選択されました。
私の提案は、これまでのやり方を見直し、アップデートしなくてはならないので、多少の改革意識は必須になります。
なので「杉本の話は、目新しい事は無い」と回答されました。
しかし、そこの実際の会員さんに、そのことを告げると
「会員を何だと思っている?いままで全くもって現場に則した情報出していなかったくせに」と憤慨
されてました。
ハッキリ申しあげますと、私の話は法律・制度のエビデンスを元に実態を交えて構成されています。
非難・否定される前に、参加者が「いままで聞いた事が無かったレベル」として評価する現実から、目を背けないで欲しいです。
だって、私の理論は同業のみならず、そこに通う患者さんに向いているのですから。
時期を経て、業界は全くもって改善されておらず、社会的信用の向上は今のママでは期待出来かねると判断しています。
この様に、文書化して残さねば、成長へのきっかけになりません。
進言も一部の人間の愚策で揉み消されてしまいかねなく、現場への利益に繫がらないので、進言では無く文書化しました。
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