今回の北海道からの情報は、全国的にドンドン拡がっており、昨日午後は「弁護士法違反」についてがクローズアップされての、質問がいくつもありました。
実際に、今回の御仁のHPを拝見しても、あるわあるわ・・・勉強会や、トリセツでも説明している、柔整師法よりも以前に、交通事故を扱う医療従事者として「やっちゃダメ」と解説している項目について、オンパレード状態で展開されていました。
HP内における、私の勉強会で申し上げている指摘事項
・治療費0円表記
・厚生労働省認定院
・交通事故専門治療院
・示談においての困りごとのサポート
・慰謝料に関する相談0円
・適正な補償・慰謝料算定相談0円
・損害賠償額の算定0円
・提携弁護士、行政書士による無料法律相談
・謎の「日本整骨院協会」
・任意保険基準慰謝料を「通常の半額」という表現
・・・このへんでメンドクサクなってきました。
上のうち赤字が、今回の「弁護士法違反」に該当していると思わしきポイントです。
そもそも弁護士法のうち該当するのは
有名なのが「弁護士法72条:非弁行為」です。
これ素人の私が出来る、超ざっくりな説明だと「弁護士の仕事は弁護士しかしちゃダメ」になります。
要は、示談屋の様に、代理権を持たない弁護士以外の人間が「代理行為」を含めた事をしちゃいけないよ、という法律。
「え?じゃ、似たようなやつはどうなのよ?」という質問に多いのが、以下の2つですが・・・
その場合も、理由がきちんとあります。
①身内の代理交渉
→法定代理人としてOKの場合有り。未成年者の保護者や後見人制度が良い例。
②交通事故における保険会社同士の示談
→昭和48年に損保サイドと日弁連が協定をし、昭和49年3月より「示談付き自動車保険を販売」に至っている。
交通事故案件の、増加に伴う処置でもある。見方としては、弁護士の仕事を取り上げている状態とも言えるが、
・当時の弁護士数の実態問題
・事件解決までの時間問題
・過失0の場合は、双方示談をしない
・別途「交通事故紛争処理センター(紛セ)」の設置
にて、合意され現在に至っています。
また、このHP表記だと、弁護士・行政書士が双方で事案に対応しているとも捉えかねなく、その場合は
「弁護士法27条:非弁との提携の禁止」
に該当しかねなくない?という、懸念もあります。
これ、一番罰せられるのは、弁護士で・・・実際に2013年頃でしょうか?九州のほうで似たような表記があって、弁護士が弁護士会から処分されています。(行政書士は行政書士会からはされてなさそうです)
弁護士の場合は、弁護士会の自治機能があるので、こういったHP表記で発覚することを、嫌がると聞いてはいるんですがね・・・
相談の金銭は貰ってなけりゃいいんじゃないの?
はい、都市伝説であってNGです。
これは、私がミクシイに回答していた時代から統一してNGと回答しています。
書籍にも書きましたし、今でも勉強会で言っています。
書籍も出す際の再確認として
・2人の弁護士
・東京弁護士会
・日弁連
に電凸して確認をとっています。
このポイントは「対価関係があるか否か?」
相談そのものでの金銭ではなく、そもそもの対価関係があればNGなんです。
患者と医療サイドは、治療の費用で対価関係があるので、相談料を取っていなくてもNG。
どうしても医療サイドが、交通事故被害者への慰謝料相談に乗りたい場合は、患者じゃない交通事故被害者
しか方法ありません。
現実的では無いですよね。
だから、治療の相談程度にしなくてはならないのです。
なので、この御仁の表記は、広告的に見ても「有利誤認」ともいえるし「優良誤認」ともいえる。
かつ、まるで「治療院が交渉します!」的な表現なので、真っ黒けっけになるのです。
他人事じゃない問題
こういった交通事故ビジネス問題は根が深くて、単に
「交通事故専門治療院という表記はケシカラン」
で終わらせられるような、程度の低い問題ではありません。
前回の記事でも書きましたが、このような狂った交通事故ビジネス化に関しては、背景があるわけです。
・療養費が以前より誤魔化しが効かなくなった
↓
・自由診療で高単価の交通事故を扱えば、収入が上がることは「交通事故はボーナスと思え」という思想慣習が、旧態依然からあった
↓
・しかし、交通事故の事を詳細に説明出来るノウハウ・人材・スキームが、ほぼ壊滅的と表現する様なレベルで不足している
↓
・そこに「ランニング」「救済」という2大翻弄キーワードを掲げて、コンサルが台頭
↓
・瞬く間に「交通事故のHPはこんなもの・・・」もしくは「他と差別化しなくては成らない」と、特段差別化してないで、似通ったHP展開は全国的に蔓延
↓
・大なり小なりあるが、大概の交通事故関係HPは、今回逮捕の御仁の様なキーワードが列挙
↓
・元を正せばコンサルだが、コンサル自体も「交通事故知ったかぶり」で、単にクライアントの見せかけ・短期利益が上がればフィーが回収されるので、自身が発信する情報の精査なんて二の次三の次
もしも、そういったコンサルが、交通事故を知ってるならば
・そもそもがコンプライアンス上で問題な表記はさせない
・保険会社の能力を知っているならば、刺激するような表記はさせない
・短期経営コンサルは誰でも出来て、中長期的営業ビジョンがあるのなら、交通事故で重要なのはランニングでは無い事を充分知っている
はずなんです。
しかも、協会・NPOみたいな団体設置なんて設置したら完全に保険会社からロックオンされるなんて事は、交通事故の世界じゃ常識中の常識な訳です。
そこに弁護士法違反を示唆するような文面書いてあると・・・本末転倒ですね。
コンプライアンス上では、問題無さそうな「直接的:被害者請求スキーム」も、法律的には問題なくても、実態としては「交通事故はカネ」の観点バリバリなので中途半端に扱うのは避けた方が良いって事です。
こうなってくると「交通事故患者を救済」とか言う前に、
そういった翻弄から救済されるのはどっち?
となります。
こういった背景が複雑に絡んでいるので、今回の様なことを批判するのは簡単なだけで、何の解決にもなりません。
患者さんにしてあげたいのは分かる
差別化も含めて、なにかしら患者さんの役に立つなら・・・と思ってかも知れません。
「知らないよりも知った方が良い」それはごもっとも。
でも、貴方は医療従事者。損害賠償では非専門家。
賠償のアドバイスは「自分で調べる」か「弁護士に聞く」しか、医療現場ではありません。
弁護士紹介も、別問題が絡む場合があります。
院の顧問弁護士ならば尚更・・・←この意味が分からないのであれば、本当にやめた方が良いです・・・紹介も。
むしろ、余計にこじれることの方が多いです。
ならば、治療と医証作成に注力した方が、患者さんも御自身も一番良い環境になります。
「ずっと患者さんが良くなるようには・・と考えてきたんで・・・。無責任に言えないし・・・不器用でスミマセン・・・」
と何気なく、分からないもんは分からんという治療家の方が、ファンは増えると思うんですがね?
そんなことも、コンサルは知らんのか?(笑)
まとめ
・HP記載内容が抵触する可能性有り
・相談料の有無は関係無し
・交通事故外傷の、医療的な事を、もっと勉強したければ「医療従事者のための交通事故勉強会:ElitePlus」へどうぞ
しっかし・・・今回の御仁・・・元○○○のクセして、こんな大事件おこすなんて・・・
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