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くり返したくない悲劇:書類1枚で患者さんの人生を狂わせないために

アメブロ時代にも書いたことありますが、悲劇をくり返されたくないので、記事をリブートします。

前提

・紹介を受けた交通事故被害者が「後遺障害が非該当になった」と相談
・私も信頼関係のある整形外科から「後遺障害診断書」が発行される
・診断書を確認するも、神経学的所見もあるし記載内容的には医学的な整合性は取れている
・実は病院は2件通っており、後遺障害診断書は2院目だが、1院目の医療記録をチェックしても、整合性に問題は無い

 

問題点の洗いざらし

まずは自賠責損害調査事務所から発行された「後遺障害等級非該当通知」を再確認。
すると、問題の文言が出てくる。

『○○○整形外科から発行された後遺障害診断書上は、神経学的所見が記載されており、事故受傷後の症状を示唆する内容が記載されております。
しかしながら、併用して施術を行った○○接骨院から提出された施術証明書においては、平成○○年○月において症状が緩和された記載があります。
従って本件事案における症状の残存の証明とはされ難く、後遺障害に該当しないと判断します』
※特定回避の為に、若干文面を加工してます

要約すると、
ドクターの診察や記録は問題無いけど、接骨院の方から
症状緩和された施術証明書が発行されているじゃないのよ!!

結果的には接骨院が後遺障害等級を潰したという事になります。

書類を確認

以下、ドクターが発行した後遺障害診断書

コチラのドクターには、私の方からコンサルさせて頂いているので、必要な情報を記載するアドバイスをさせて頂いております。
したがって、弁護士さんもヨダレモノのノウハウが入っていますので、モザイクが多くなっている点はご容赦下さい。

何が検査され、結果が記載されているか?と、民事交通事故損害賠償としての医証とはどうあるべきか?
を、お伝えしているので完璧レベルで作成頂いています。

ちなみに、こちらのドクターの診断書作成レベルが高いので、後々になっての問い合わせ対応等々には「後遺障害診断書のとおり」の一行返信で済むので、
医科が嫌煙しがちな、交通事故患者対応は非常にスムーズになります。

そう、医師が診断権をもって作成した診断書がちゃんとされていても、柔道整復師が発行した書類に問題があれば、幾らでも賠償は潰されます。
なぜか?
施術証明書は、正式には「自賠責保険様式:施術証明書」であり、公的な採用が成される文書だからです。

 

問題のあった施術証明書を確認してみる

 

 

以上が該当する証明書です。
負傷の経過欄にしっかりと「軽減」と書いています。
この一言で、ドクターの仕事を潰したあげく、患者さんの人生を壊しました。

この時点で、被害者には諦めることを促しました。
正直、一度提出された書類は覆りません

それはベーシックコースでもご覧頂いている、別件の非該当事案の通知にも
「一度提出された公的な証明書の訂正提出はあり得ない」
と記載されています。
そう・・・重箱の隅を突く審査を行っている以上は、1回でも出した書類は覆りません。

私は、この医療従事者が出す書類全般において、患者さんの未来を潰す要因がある事例は少なくないと分析しています。

しかも訂正印がされています。

実は、施術証明書は一度提出後に、非該当通知後に患者さん本人が回収されて、この院長に指摘していました。
その時に、再度軽はずみで「訂正印」を推して返している
それで、異議申立もしており、それも却下後に私への相談だったのです。

 

仕方無いので、接骨院院長と面談する

被害者は諦められません。
一緒に、この事を確認して貰えないか?と、同行を依頼されました。
同行の上での事情確認ですので、非弁行為になりません。

昼休み時間に院に行くと、最初は少し面倒なのか、対応態度がアッパーミドル
15分後、この方の顔色と発汗量は、大きく変わることになります。

最初は病院から提出された、各種医証を見せる。
そして、御自身の後遺障害診断書も併せて説明します。

『では先生、単刀直入に申しあげます。ドクターは神経症状がある事を認めています。
しかし貴方が発行した施術証明書にはそれを覆す一言が記載されてました「症状の軽減」と。
しかも、一度これは患者さんご本人から指摘されてますよね。それで行ったのが、訂正印。
伺いますが、症状の軽減を確認されたのは何月何日の通院からで、どのように軽減を確認したのか教えて下さい』

この時点で滝汗となった院長さん。
一生懸命、カルテを見て「えぇ~っと・・・」と探しています。

が遠目でも殆ど書いていないカルテというのが分かります。
自由診療だからと、カルテ残さなくても良いとかの都市伝説を信じていたようです。

つまりマトモに記録すらしていない!

同業イジメをするつもりもないですが、しかしこの無責任行為には毅然と対応します。

実はこの時点で、最後の望みが消えました。
そう・・・せめてカルテ記録との照合で、記録がしっかりされていたら、カルテ→証明書への編集ミスという
反論の余地があったのです。

しかし、通常より単価が高く、都市伝説も交えて「ボーナス」とか舐めた旧態依然の対応でこなして来れた経験は、免許を持った医療従事者の責任を全うしていない行動へと導きました。
つまり、患者さんの未来は「儲ける目先のカネ」を選んだ柔道整復師の行為に潰されたのです

『見えてますよ、カルテすらマトモに書いていなくて、いつから症状軽減したかなんて分からないんでしょ?』

院長「いや・・・保険会社が後半うるさくなってきたので、終了も含めて、書いちゃったんです・・・どうにかならないんですか?」

『なりませんよ!医証が貴方によって潰されたんですから。弁護士が訴訟しても、証拠がないでしょ?そもそも、患者さんにその費用負担もさせるわけにもいけないようなこと。私の経験上ではどうしようも無いですね』

トドメは、無責任な訂正印・・・何様のつもりでしょうか?

療養費支給申請には「返戻」があっても、整合性をきちんと説明出来れば「解釈の相違を補足により修正する」という観点で仕切り直しが可能です。

しかし、民事交通事故損害賠償の言ったんでもある自賠責保険にはその観点はありません。
つまり「一度出したモノは覆らない」
これは弁護士立てても同じ事は、訴訟の一流プロの弁護士さんなら、重々把握されていることです。

結局は、この患者さんの泣き寝入り。
接骨院は、治療費を貰うだけもらっておきながら、患者さんの賠償ぶち壊し。

どうすれば良かったのか?

交通事故における医療界全体の対応方法は、暗中模索名環境での過去からの「経験則」が元になっており、弁護士バックアップや事故被害者から直接話を聞いてきた立場からすれば、実態との乖離が極まれりの内容満載です。

医師向けのハンドブックも拝見しましたが、非常にネガティブなフィルターが施されている印象で、不必要な二次被害者を生みかねない点がいくつもあります。
(この話はまた別で)

私の勉強会はネガティブです。
儲かる話はしませんし、内容は難しい。

でも「医療従事者と言う名の二次加害者」を増産しないための知識はしっかりと入れています。

まずは知って下さい。
知識と現実を。

その上で、各々の医療従事者がどのように立ち振る舞えば、虚偽の無い、真実に沿った立ち回りも出来る基礎になります。

勉強会でお待ちしています。

======================================
『医療従事者のための交通事故勉強会2019:柔整師向け』

横浜ファースト:2019年6月23日(日)
9:15~11:55
横浜ベーシック:2019年6月23日(日)
13:00~19:00

横浜アドバンス:2019年7月7日(日)
9:30~16:45

※すでに受付開始

<場所>
アットビジネスセンター横浜西口駅前 602号室
神奈川県横浜市西区北幸1丁目8−4

<定員>
各会場:30名
(各最少催行人数15名)

<申し込み方法>
https://www.primecare.co.jp/workshop/
①弊社HP、もしくはFBページメッセにて案内PDFを取得下さい。
②FAXもしくは、申し込みデータをメール送信
③承り後、弊社から受付案内を致します(メールもしくはFAX)
④料金は会場にて現金にてお支払い下さい(領収書発行致します)

<メール受付の場合>
HP問い合わせフォームより
①氏名
②所属院
③連絡先番号もしくはアドレス
④取得資格
⑤希望コース
⑥同行有りの場合の同行者氏名
⑦ベーシック終了後の二次会参加希望の有無
をご教示下さい。

<料金>(すべて税込)
ベーシック・アドバンス新規(それぞれ)@22,000円
ファーストのみ一律:@10,000円
同コースの再受講:@10,000円

再受講者との同行またはペア割:@ー4,000円
(お一人当たり、ベーシック・アドバンスにそれぞれ適用)

※交通事故事案を同業者へのビジネス化されている場合は、別途加算料金を申し受ける場合がありますので、ご了承下さい。

<会場限定:書籍特別販売>
「医療従事者の為の交通事故取扱説明書:接骨院編」
@9,000円→特別価格@8,000円(ともに税込み:一人1冊限り)

<ご注意>
・撮影・録音・資料の二次使用は固くお断りします(発覚時損害賠償請求します)
・初参加の方の「PCによるノートどり」は、内容リークの懸念もある事から、ご遠慮頂いています。
・既に交通事故で商用活動(手法展開・セミナー等)されている方のファーストコース以外の申し込みは、理由回答によって参加をご遠慮頂く事もございます。
※管理人は「二次加害者」への幇助を一切行いたくないという信念がありますので、ご理解下さい。
勉強会でお会いしましょう

 

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