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法令違反を、医療従事者に促す弁護士って?

今回は「たまには勉強会の内容レベルをご紹介しないとな~・・・横浜勉強会も決定したし・・・」と考えていた矢先に、既受講の先生から非常によろしい感じの報告を頂きました。

内容的には「アドバンスコース」で詳細まで行っている内容になります。

既受講の先生から見れば「え?そこまで出すのですか?」と言われかねませんが、コントロールしてご紹介します。

大事な話ですし、交通事故にまつわる実態もご紹介出来ますので。

今回の事案

・整骨院に1年ほど前に3ヶ月受診されていた患者さん
・事故当時から、過失割合で多少はもめている話を聞いてはいた
・原付バイクに乗っていて、横からぶつけられたので「20:80」くらいの過失割合ではないか?と患者さんは言っていた
・治療途中に東京海上日動から打ち切りされた
・後遺障害の申請はしていないらしい
・しかし今になって、患者さんが依頼した弁護士事務所からTEL
・TELしてきたのは事務所の事務員(パラリーガルと言う事ね)だが「弁護士の指示によりTELしています」と

さてここからが問題です。
以下、電話の趣旨

・過失は相手が50:50を主張して折り合いが付かない
・治療費も100万円行ってしまっている
・治療費を圧縮したいので健保使用を今さらながら巻き直して貰いたい
・医療関係、病院にも同様のお願いをしている
・過失割合を裁判で争う事は、2~3年くらいかかることなので避けたい
・私どもは患者さんの代理人ですので、味方になって何とかしてあげなくてはいけない

あきれ果ててモノも言えん・・・よく言えたな

先に医療従事者のよくある感情をセーブして頂きます

まず、この場合「自賠責は自由診療で、健保使うなんてケシカラン」

という、3流の考えはどうぞお捨て下さい。
物事の考えるべきポイントがぼやけます。

問題は、法律を守るべき職務の弁護士が、法令を犯す行為を医療従事者に課している事なのです。

そもそも・・・

健康保険は、健康保険法がある公的制度です。
その中には「健康保険施行規則」があり、健康保険を使用する旨においては、遵守しなくてはなりません。

 

今回の場合は、法律を守るべき弁護士が、法令を無視して一方的な利益追求をしている事から「過去遡及」を求めていますが、これはNGです。
施行規則53条には「被保険者証の提出」があるので、過去遡及は出来ません。

「え?請求期限は2年じゃ無い」という反論があるかたは、公的保険である健康保険を取り扱う重要さの意識が欠落しています。
そんな事は、まったくもって話にならない低レベル反論です。

つまり、患者さんの利益を求める損害賠償の話を進めたいから、医療従事者に法令違反を犯してくれと・・・
って、保険者が承認するしないの前に、根本的な事がオカシイだろ!

何のための「健康保険法」と「施行規則」・・・となるわけです。

ちなみに、健康保険の施行に関する罰則は、多岐に渡りません。
これが厄介で、罰則としては「取扱取り消し」しか無いのです。
(平成27年:関東信越厚生局確認済み)

要は、そこに関する不正により罰せらるということは、以後100%自費しか取り扱えずとなるのです。

これ、医療従事者にとっては、死活問題になりかねません。

しかも行政指導は、一般の縦覧で世間に知られる事になり
「病院(もしくは接骨院が)が健康保険を不正請求により処分」
という、マスコミによる拡散も0ではありません。

弁護士の矛盾点

①そもそも法令違反を促すって?
私も今回は、ブレーンに確認取りました、案の定ですが
「先生のお考えが正しいです。その弁護士には「弁護士が施行規則違反を強要するのは、誠実に職務を行っていないことになり、弁護士法第1条に反している」「遡及要求を止めなければ弁護士会に懲戒請求のうえ、マスコミに知らせるよ」と釘を刺してはいかがでしょう」
とまで、回答された位の公序良俗に反する事です。

②過失割合で揉めていながら、治療費圧縮?
事故の状況でもって決まる過失割合。これを治療費を減らす事で、なんとかするって・・・本当に、依頼者の利益につながるか?甚だ疑問です。
お門違いの事までひっくるめて、主張をねじ曲げているように見えます。
そこはプロなんでしょうけど、そこに医療従事者に法令違反をって・・・

③まさか、パラリーガルのせいにしないよね?
モチロン今回は、弁護士の責任のもとで、TEL作業の指示していますよね?
と言う事は、弁護士の責任のもと、法令違反を促しているといういことになります。

④医療従事者の権限や,職責を理解しているのでしょうか?
たしかに、法定代理人として、依頼者利益を守るのは理解出来ます。
ですが、医療従事者にとって死活問題となる法令違反を促すのは、行きすぎかと。
実は、今回の情報提供してくれた柔整師の先生は、今回と同じ事務所から、他の患者さんの案件の際に「後遺障害診断書を書いてくれ」と言われたことがあるそうです。

柔道整復師には「診断権」は無いので、作成出来ません。
実は同様の依頼は、うちの院でも言われた事があります。

「なんとか○○さんのためにご検討頂ければ・・・」という文言だったそうですが、もっとその検討依頼の内容レベルを深慮した方が良いんじゃ無いですかね?

まさか「依頼者への体裁の為に仕事している主張アクション」だったとしても、持ちかけられている医療従事者にとってはたまったもんじゃありません。
・OK貰えればラッキー
・NGだったとしても、なんか交渉仕事している報告出来ればいいか
なんて意図だったら、何様だってことです・

こういった時に、医療従事者は

絶対に、流されてはなりません。
してはいけない事です。

目先の自身と依頼者の利益の為に、公的制度と医療従事者が犠牲になる必要は全くもって無いからです。

トリセツにも上げていますし、アドバンスコースでも、詳細をエビデンスもってこの点は説明しているので、既受講の方が見たら理解出来ているので、呆れかえって仕方無いでしょうね。

私が勉強会で目指しているのは、こういった理不尽な要求に対しても、制度・法律に則ったエビデンスを習得する事で、様々なハザードに立ち向かえる「知識をつけて知恵にする」こと。

人をダマクラかして自己利益を追求する輩はどこの世界にもいますから、そういった奴らに毅然と立ち向かえるための武器は必須です。

それを伝えなくて、何が交通事故の勉強会やセミナーだ!ってなものです。

まとめ

・2年の請求期限ではなく、それ以前の法令に定める所を理解しなければならない
・どこの世界にも、自分の事しか考えない輩は存在する。弁護士だからすべて正しいとは限らない
・それ故、エビデンスのある知識は必須
・自己利益に偏重された知識ほど恐い物はない。正当知識を妨げるためのメッキは「偏重利益」によって覆われている事が多い

こういったことに騙されないための知識も、勉強会でお伝えしています。

※勉強会は、長時間になります。
是非、普段着でどうぞ。スーツ着用は勧めません(笑)

※「特別カリキュラム:医師診断を否定した自賠責保険の判断への分析と対策」はアドバンスコースで行います。

※ベーシックコース終了後の19時から「ashibraⓇ体験会」を行います。
当日、時間の許す限りashibraⓇを、体験されてみて下さい。
『S03』と『AIR』を持参します。

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『医療従事者のための交通事故勉強会2019:柔整師向け』

横浜ファースト:平成31年6月23日(日)
9:15~11:55
横浜ベーシック:平成31年6月23日(日)
13:00~19:00

横浜アドバンス:平成31年7月7日(日)
9:30~16:45

※すでに受付開始

<場所>
アットビジネスセンター横浜西口駅前 602号室
神奈川県横浜市西区北幸1丁目8−4

<定員>
各会場:30名
(各最少催行人数15名)

<申し込み方法>
弊社HP
①弊社HP、もしくはFBページメッセにて案内PDFを取得下さい。
②FAXもしくは、申し込みデータをメール送信
③承り後、弊社から受付案内を致します(メールもしくはFAX)
④料金は会場にて現金にてお支払い下さい(領収書発行致します)

<メール受付の場合>
HP問い合わせフォームより
①氏名
②所属院
③連絡先番号もしくはアドレス
④取得資格
⑤希望コース
⑥同行有りの場合の同行者氏名
⑦ベーシック終了後の二次会参加希望の有無
をご教示下さい。

<料金>(すべて税込)
ベーシック・アドバンス新規(それぞれ)@22,000円
ファーストのみ一律:@10,000円
同コースの再受講:@10,000円

再受講者との同行またはペア割:@ー4,000円
(お一人当たり、ベーシック・アドバンスにそれぞれ適用)

※交通事故事案を同業者へのビジネス化されている場合は、別途加算料金を申し受ける場合がありますので、ご了承下さい。

<会場限定:書籍特別販売>
「医療従事者の為の交通事故取扱説明書:接骨院編」
@9,000円→特別価格@8,000円(ともに税込み:一人1冊限り)

<ご注意>
・撮影・録音・資料の二次使用は固くお断りします(発覚時損害賠償請求します)
・既に交通事故で商用活動(手法展開・セミナー等)されている方の申し込みは、理由回答によって参加をご遠慮頂く事もございます。
※管理人は「二次加害者」への幇助を一切行いたくないという信念がありますので、ご理解下さい。
勉強会でお会いしましょう

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